のれんの製作方法「昇華転写捺染」で退色しやすい色
2021年10月13日
皆さんこんにちは、オーダーのれんドットコムの福本です。
今回は少しだけ専門的な話をしたいと思います。
私たちの身の回りには様々な方法で染色したものが溢れていますが、
それらの「経年劣化による退色」は避けて通ることはできません。
ちなみにオーダーのれんドットコムののれんは
「昇華転写捺染」という染め方法(デジタル染色とも呼ばれています)で製作しています。
詳しくはこちらの動画をご覧ください。
経年劣化による退色は主に、対象物に太陽光が当たることによって起こります。
ですので、耐光性の高い素材やインク(色)を使うとその分退色は遅くなります。
ここで、皆さんに問題です。
退色が一番目立つ色は何だと思いますか?
少しお考え下さい。
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答えは「緑」です。
なぜ緑が、退色が一番目立つのでしょうか?
下記の表をご覧ください。
インク別堅牢度試験結果
昇華転写インク(転写時)堅牢度試験結果
(SPC-0493:JV5,JV33用)
日付:2008年4月4日現在
参照元
https://japan.mimaki.com/topics/supply/ink/fastness-test.html
一番上に「耐光」という項目があり、このように記載されています。
K 5-6
BL 4
M 5-6
Y 7
Kは黒色
BLは青系
Mは赤系
Yは黄系
数字はそれぞれの耐光性の級数になります。
耐光性とは光に対する強さで、この級数が高い方が、光由来による色褪せが少ないということを表します。
つまり、この中では黄色が一番強く、青が一番弱いことになります。
実はこれが、緑が一番退色が目立つ理由なのです。
どういうことか?!分かりやすく説明しますね。
緑色は青と黄色のインクを掛け合わせて表現します。
仮に耐光性がどちらも同じならこのように退色していくはずです。
しかし実際はこのようになります。
それは、黄色に比べて青の方が早く退色するため黄味がかり、最初の色よりも褪せて見えてしまうからです。
つまり、緑の退色が顕著に見える理由は、
耐光性が一番高いインクと一番低いインクを掛け合わせている為ということです。
ちなみに今回参考にしたデータのインクは、弊社で使用しているインクではありませんが
全体の傾向として昇華転写用インクの青は、耐光性が低い傾向にあります。
メーカーの話によりますと、青のインクは他のインクより粒子が大きく、定着しにくい為
どうしても耐光性が悪くなる傾向にあるようです。
とは言え、良い物をお届けするのが使命ですので、インクメーカーに現場の声を伝え製品の改善に努めて参ります。
最後に、弊社事務所の東側の壁で1年間、耐候性テストをした結果をお知らせします。
・生地:バンテン
・期間:2020/9から2021/9の1年間設置(24時間付けっ放し)
1年後
これを見ても、緑系の特に濃い色、36番の深緑や37番のダークグリーンは青色が薄くなり、
元の色に比べると黄色っぽく変化し退色が目立っているのが分かります。
3番の黄色や7番の赤色など青色が使われていない色は退色が少ないことも分かります。
メーカーのインク別堅牢度試験結果が正しいことが、実際のテストで証明された形です。
ただし設置環境により退色具合は大きく異なることだけ、予めご了承下さい。
とは言え、あまり気にしすぎると作りたいのれんが作れなくなってしまいますから、
あくまで参考程度にお考え頂ければと思います。
その上で、営業時間外は店内の直射日光の当たらない場所に片付ける、
雨に濡れたときはそのままにせず、お洗濯をして陰干しをするなど、
メンテナンスに気遣っていただければ、少しでも長くお使い頂けます。
のれんのメンテナンス方法
https://www.order-noren.com/guide/faq_00146.html
その他、ご質問や落ち合わせがございましたら
何なりとお尋ね下さい。
のれんの詳細はこちら
https://www.order-noren.com/noren/index.html
以上、オーダーのれんドットコムの福本でした。
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